条件表現「と」、「ば」の区別について

(整期优先)网络出版时间:2021-05-08
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条件表現「と」、「ば」の区別について

宫辛未

辽宁省建昌县凌东高级中学 辽宁省建昌县 125300


1 はじめに

 日本語を勉強する中国人にとっては、日本語の発音は相対的に簡単であるのわりに、文法は相当難しい。特に、日本語の文法の中に、意味がほとんど同じで、使い分けがかなり難しいものが数多く存在している。条件を表す「と」「ば」「たら」「なら」など、これらはいずれも簡単には越えられない壁のごとき、日本語の初心者を悩ませた。本稿の目的は日本語の初心者に向けて、条件用法を表す「と」「ば」の使い分けを簡単に説明することである。


2 第一章

 日本語では、条件表現は極めて重要な位置を占めている。したがって条件表現の性質、意味と用法を把握することは、正確に日本語を理解し、使いこなせるための不可欠なのである。


2.1 「と」

「と」は一つの助詞で、とても重要である。「格助詞」「弁列助詞」と「接続助詞」の働きを持っている。主な内容は以下の例のように:

  1. 格助詞

格助詞としての「と」は前の体言で「ト」格をなす。具体的な用法は以下のよう:

    1. 動作の共同者を表す用法。    

例 太郎は花子と婚約したそうだ。

    私は王さんと買い物に行きました。

    1. 比較の基準を表す用法。

例 今日の順番は昨夜の順番とちょうど逆だ。

  父と瓜二つの顔をしている。

    1. 変化、行為と決定の結果を表す用法。

例 水は氷となった。

  5分間以上の遅刻は欠席とする。

    1. 心理的活動、思考や言語の内容を表す。

例 長女を花子と名付けました。

  一日も早く全快されるように祈ります。

    1. 引用の用法。

例 「あそこに山が見える」と弟は叫んだ。

    1. 比喩の用法

例 桜の花が雪と散っている。

    1. 数量詞+と

A重複 一个又一个 例 星が一つまた一つと消えていく。

B累加 一个两个地       例 人々は一人、二人と集まってきた。

C数量詞+と+否定、限定を表す 例 夕べは三時間と寝ていない。

  1. 弁列助詞の用法

体言/形式名詞/用言終止形+と 全部のものを列挙し、ただまだ出現していないものを除き、出てくるものしか列挙できない。

    例 今日と明日は休みです。

      見ると聞くとは大違います。

  1. 接続助詞用法

 用言/助動詞の終止形+と

    1. ある恒常的、繰り返して表す現象や行為。

A恒常的、自然現象   

例 春が来ると花が咲く。

B固定した習慣、今のでも、過去のでもよい。    

 例 子供の頃、天気がいいとこの辺をよく散歩したものだ。

Cある動作による必然的な結果を表す。

 例 このボタンを押すとドアは自動的に開きます。

    1. 仮定条件を表す用法

 例 そんなに食べると太るよ。

   動くと打つぞ。

    1. 連続に発生した二つの動作や現象を描写する。

A新しい発現を描写する。

 例 箱を開けると、猫が入っていた。

B順序に発生して、意図した動作。

 例 彼はうちへ帰ると、テレビのスイッチを入れた。

    1. 言う、見る、考えるなどを思考や比較を表す動詞が後に来ている。判断の立場や観点を表す。

例 正直に言うと、この本はとてもつまらないと思います。


2.2「ば」

「ば」は接続助詞で、用言、助動詞の仮定形につく。仮定条件を表す。

    1. 仮定条件下の順接、“如果……就”“若……就”の意味を表す。

例 君がすすめれば、春子も賛成するだろう。

    1. 既定条件下の順接、“按照……”“假如……”“既然……”の意味を表す。

例 あなたもそう考えれば、私は仕方がない。

    1. ある条件を前提として、何か確定する結果が得られます。“一……就”の意味を表す。多くは規定、規則、真理あるいはマキシムの場合に使われる。

例 春になれば、一面に桜が咲きます。

  噂をすれば、影が指す。


3 第二章

 「と」「ば」の用法について、第一章で簡単にまとめた。この二つの文法の共通点はいずれも条件を表すという用法があるから、どのように区別すればよいかは初心者にとっては難しい。この二つの文法を区別するには、まず、文の中の接続方法を知っておくべきである。


3.1接続方法の区別

①「と」:Nだ/んでない、ナ形容詞+だ、イ形容詞・動詞終止形

②「ば」:N・ナ形容詞+ならば、イ形容詞+ければ、動詞「ば」形



3.2条件用法における区別

まず、条件文には前件と後件がある。じょの後件の文末は完了形である「た」形が来るかどうかによって、この二つの文法を二種類に分けられる。「と」は文末に「た」形をつけることが可能で、「ば」は不可能である。つまり、「と」は仮定条件としても「既定条件」としても使われる。一方「ば」は仮定条件としてしか使えない。

 例 仮定条件:

この新幹線は京都駅に ○着くと、5分間停車する。

この新幹線は京都駅に ○着けば、5分間停車する。

 既定条件:

この新幹線は京都駅に ○着くと、5分間停車した。

この新幹線は京都駅に ×着けば、5分間停車した。


3.2.1「と」

 「と」 A常に習慣的、反復的な事象、既定の事実を示す。

      例 彼は家に帰ると、パソコンに向かっている。

   B一方的条件が成立すると、その結果が必然的自然発生的に成立する関係を表す。

    例 春になると、あつい国の動物たちがだんだん元気になります。

C文末には「許可」「希望」「命令」「依頼」など、意志表現がこないことに注意する。

    例 ボーナスがでると、パソコンをかおう。  ×

3.2.2「ば」

「ば」 未成立の事柄を成立したものとして仮定する機能はある。

    A「ば」も「と」と同じよう、一般的に意志表現がこないけれども、ある情況では可能である。それは、前件は状態性を表す「ある・いる・できる・可能形」あるいは形容詞なら、「たら」のように後件の文末に意志表現を使うことができる。

     例 行きたければ、どこへでも行きなさい。

       詳しいことがわかれば、すぐお知らせいたします。

    ★しかし、「風邪を引く」のような受態的で、動作性の表現であるために、不自然さが出ている。

     例 風邪を引けば、この薬を飲んでください。?

    B後件の出来事は一般的に望ましいことである。

     例 徹夜すれば、体調が悪くなります。?

    C反事実用法。

     例 宿題がなければ、夏休みはもっと楽しいのに。

    D慣用句の用法。

     例 魚心あれば水心。

       のどもと過ぎれば熱さを忘れる。

    E“さえ~ば”最低限度を表す。

     例 お金さえあれば、遊んで暮らせる。


4おわりに

 本稿は「と」「ば」について、簡単に説明した。二つの文法にはそれぞれの意味と用法、および条件用法の異同に関する分析した。日本語を勉強する初心者にとって、このような類義的な文法を使い分けることが相当難しい。日本語の中で、類義的な文法は他にも数多く存在している。本稿は条件を表す「と」「ば」の区別についての紹介はあくまでも初心者向きの未熟者で、まだまだ不十分まところがある。これからもほかの類義的な文法を課題とし、研究したい。


参考文献

[1]「古典語 現代語助詞助動詞詳説」 東大教授  松村 明 昭和五十三年

[2]「教師用日本語教育ハンドブック③ 文法Ⅰ 助詞の諸問題1」 国際交流基金会 昭和五十八年

[3]「現代日本語文法⑥」 日本語記述文法研究会 2011年

[4]《详解 日语语法词典》 申泰海 赵基天 王笑峰 吉林教育出版社 2003年

[5]《现代日语语法大全》 战宪斌 大连理工大学出版社

[6]《日语近义表达方式解析词典》 目黒真実(日) 外语教学与研究出版社 2010年

[7]《日语语法手册》 黑龙江人民出版社 1984年

[8]《现代日语语法》何俊山 吴海燕 浙江工商大学出版社 2013

[9]《现代日语系统语法》 杨诎人 世界图书出版公司 2007年

[10]《现代日语语法》 杨诎人 吴大纲 庞黔林 世界图书出版公司 2005年